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伊藤 豊雄 Toyo ITO
PROFILE
より自由なスペースを目指した図書館「せんだいメディアテーク」の試み
せんだいメディアテーク
せんだいメディアテーク
 せんだいメディアテークは私の人生の最大のイベントとなりました。建築家として初めて世のためになったというか、いろんな人達が建築というものが楽しいものだとわかってくれたような気がします。それまでも、いくつか建築をやってきており、ユニークであるとか、キレイだという評価はありましたが、建築というのはこんなに楽しく、いいものだとわかってくれたのが、私にとって勇気を与えてくれました。
 別の言い方をすれば、建築は人間を不自由にしているような気がして、建築など無くて済むなら、無いほうがいいんだと思っているところがあるんです。でも、作らねばならないなら、どんな建築が人々に元気を与えられるのかと、ずっと考えていました。ですから、従来の建築よりも「自由」なものになったことで、人々に元気を与えられることができるとわかったことが収穫でしょうか。
福岡アイランドシティ中央公園中核施設 ぐりんぐりん
福岡アイランドシティ中央公園中核施設 ぐりんぐりん
 せんだいメディアテークは、図書館を中心にギャラリーやオーディオ・ビジュアルのスペースがあり、一階は屋内化された広場のスペースがある施設です。これまで図書館というと、机に座って静かに本を読む場所という印象がありましたが、実際には、いろんな本の読み方があるわけで、寝転がって本を読んだっていいじゃないかと。自然の中、公園の中だと、人は好きな場所で本を読んだり、人と話したりできるのに、図書館という建築に入った途端に、こうしなさい、ああしなさいとコントロールされます。それは不自由なので、もっと自由にしようと思いました。一階の広場のスペースではコンサートなども行われ、その音は2階、3階にも聞こえるのですが、一度、公園のようなスペースを作ってしまえば、人はあまり音を気にしない、本を読んでいる近くを子供が走っていても、そんなに気にならない。
 人間というのは環境の作られ方で「うるさい」と思ったり、逆に、音は聞こえていても本を読めるようになるものなのだと、初めて私もわかりました。こうした試みはヨーロッパなど、海外からは非常に評価を受けましたが、日本では他の自治体など、数多く視察には来るのですが、相変わらず慣習的なものを造り続けていますね。
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