吉祥寺の「いなりやビル」では、設置から26年を経て老朽化した駐車設備をリプレイスするにあたって、設備を2基に増設するなど駐車場全体の見直しをはかり、今年1月そのリニューアルが完成しました。
ビル建築当初は、単に付置義務として捉えていた駐車場でしたが、立地がショッピング街という場所柄もあり、近年は女性の車客の姿が目立っていました。
その需要に応えるためにも、「使い勝手のよい駐車場が必要だ」とオーナーは考えたのです。それまでは月極契約を含む普通のビル駐車場でしたが、リプレイス後は100%時間貸しの、フレキシブルなパーキングスペースに生まれ変わりました。
新しい駐車場をつくるに際して、オーナー自らが計画に積極的に関わってきたことも、今回の成功につながる大きな要素でした。オーナーの中島英智氏とパーキング部門を担当する中島将年氏の両氏は、つねに駐車場を使うユーザーの立場に立ち、設計段階からさまざまな提案をしてきました。また、日精はそれに技術面でのアドバイスを加えながら、つまり共同作業によって計画全体が進められていったのです。
そうしたオーナーの姿勢はハード面だけでなく、ソフト面にも反映されました。利用するお客様へのサービスをもっとも重視し、従業員の教育に力を注ぎました。
成果はすぐに顕れました。リピーターが増え、なかでも女性客からは「自走式よりも、いなりやの機械式は使いやすい」という評判をよく耳にします。現在は、利用客の約7割が女性です。
機種は、時間効率を考慮して、チェーン式AUROパークが採用されました。時間表示盤に取り出し時間がカウントされるため、誘導員が次の入出庫動作を効率よく行うことができます。
また、ひとつの入出庫口に2基配備された最新駐車設備は、それを大型車と普通車とで使い分けすることで、待ち時間をさらに倍近く短縮することができました。